港北ミッドナイト


悪夢のビート

準備

何は無くともまずはワークショップマニュアルを入手しなければならない。 簡単な整備ならともかく、今回はエンジンをいじるのでトルク値などが必須だ。 調べてみると、以下のものが出ていた。

  1. シャシ 整備編
  2. 構造編
  3. E07A エンジン 整備編
  4. ZK37 マニュアルトランスミッション 整備編
  5. ボディ 整備編
  6. パーツリスト

中身を調べたり後で買い足すのが面倒だったので今回は全部買ってしまったが、 「シャシ編」、「エンジン編」、「パーツリスト」があれば事足りる(と思う)。 少なくとも「ボディ編」は必要ないだろう。

ビートは生産中止からかなり経っているので、 多分在庫は無いだろうなと半ば覚悟して注文してみると、 なんと「パーツリスト」以外は全て! 揃うという。 しかも「パーツリスト」も実費でコピー対応してくれるとのこと。 さすがはホンダさん! 感動である。 「マニュアルは一般客には売らない」などと言っているどこぞのメーカは見習って欲しいものだ。

作業スペースが厳しいのでエンジンごと降ろすつもりでいたのだが、 整備解説書を読んでみるとヘッドだけでも降ろせそうだ。 ビートの場合はエンジンを下から抜かなければならないので、 ヘッドだけ降ろせるのであればラッキーなことこの上ない。 ダメージはおそらくヘッドだけと思われるし、 万一腰下を降ろすはめになってもヘッドが降りていれば高さがない分持ち上げるのが少なくて済む。 よし、それでいこう。

そうと決まれば、早速作業手順ノート作成に入る。

「アマチュアは時間があるから気長に作業を...」などと言う人がいるが、そうだろうか? 少なくとも僕の場合はのんびり作業はまずやらない。 (休憩は多いかもしれないが。)

趣味の時間でしか車を触れないのだから、時間は当然限られる。 つまり休日だけ。その休日だって、全てを車いじりに費やすわけにもいかない。 今回の作業場は電源がないので日が暮れればそこで終了。 この季節(11月)は日が短いため日中の作業時間は約5〜6時間しかない。 ガレージには屋根がなく雨が降れば作業は中止。 時間が必要かつ途中で止められないエンジン降ろしともなれば、曇でも予報次第では中止。 もちろんプロフェッショナルの方々と違い、作業時間の短縮が直接お金につながるわけではないが、 アマチュアとてある意味で時間との戦いなのだ。

そこでノート作成である。 整備書を見ながら頭の中でシミュレーションし、 必要な工具、部品、ケミカル等を全て書き出していく。 これで作業中に整備解説書を見たり、あれこれ考える無駄な時間を減らし、 同時に必要な予算、作業時間等を大雑把に知ることができる。 また作業のし忘れや間違いを防ぐためにも有効だ。

特に今回は自分のガレージではなく出張修理になるため、 工具と部品をその都度揃えて持参しなければならない。 部品一つ忘れて自宅に取りに帰れば往復約1時間のロス。 工具が足りなくて近くに買いに行けば約30分のロスになってしまうのだ。 たかだか30分であっても、日曜の日暮れ前におきれば、それがそのまま1週間のロスになってしまう。 やはり何事も基本は、

段取り8分に仕事2分

なのである。

とはいえ、どんなに念入りに下準備しても、そうそう事がうまく運ぶものではない。 例えば「普通のメガネはあるが、ストレートじゃないと回す場所がない」とか、 「もう1cmm短いエクステンションなら入るのに」とかは日常茶飯時。 それでもやらないよりはましである。

会社の休み時間や寝る前の時間を利用してノートを作り、必要なものを揃えていく。 週末晴れたらすぐにでも降ろしに取りかかれるように。

ヘッドを降ろす その1へつづく。



Takahiro Asai (t_asai@yk.rim.or.jp)
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