成田サーキットでのタイムアタック中、僕とElanは炎につつまれた。
まさにBack To The Futureのデロリアン状態..。
原因は油圧計のリード(管)の破裂と判明。 はじめにリードに小さな穴が空き、 そこからミスト状に吹き出したオイルが引火したのである。 オイルは滅多に引火しないという僕の中の定説は覆された。 火はブローバイの開放口へ到達し、今度はブローバイガスに引火した。 火は大きな炎となり、車体の底から横、後ろへと回り込んだ。 近くで見ていた人によれば、炎が車を追うように地面を走ったという。
オイルは一瞬のうちに1.5Lほど吹き出していた。 不幸中の幸いだったのは、 大量に吹き出したオイルにタイヤが乗ったことでスピンを誘発した事だ。 スピン、それも強烈なヤツをしたことにより火は吹き消された。 車が止まると、 次に破れていたシフトブーツから白い煙がもうもうと湧き出てきた。 僕は初めて体験する火の恐怖にかなり動揺していた。
オフィシャルや参加者の方々に押してもらってピットへもどり、 車から降りた。 早くボンネットを開けて様子を見たかったが、 もしエンジンルームがくすぶっている場合、 酸素が供給される事により火が極端に大きくなる可能性がある。 十分注意しながらボンネットを少し持ち上げて覗いてみると、 あろうことか、Weber(キャブ)の上面がメラメラと燃えていた。 幸いガソリンに引火する前だったので、 急いで着ていたトレーナで叩いて消し止めた。
FRPはよく燃えるとされているが、火が着くまでは結構時間があるものだ。 しかし一度火がついたら最後、手が付けられないほどよく燃える。 2階立ての家くらい炎が上がることも珍しくはない。
とにかく危なかった..。 なるべく早く消火器を積むことと、 こういったイベントに参加するならば レーシングスーツくらいは着るべきだと実感した。 Lotus乗りのレーシングスーツは伊達ではない。
最終的な被害が、
さすがに自走で帰ることは不可能と思われたが、 破裂したリードをブッタ切り、 たまたま仲間が持っていたバキュームホースを差して、 合いそうなボルトでめくら蓋をして強引に帰ってきてしまった。 道中、油圧計が死んでいるのと、 クラッチホースがいつ破けるかと気が気ではなかったので 精神的に非常に参った。
旧車趣味は大変楽しく、また素晴らしいものだが、 同時にそれなりの危険と責任が伴うことを再度自覚しなければならない。 特に日常の整備は最低限の義務である。 今回は油圧計のリードの劣化に気を払わなかった僕のミスだ。 まるで重箱の隅をつつかれたような、 まるで教科書の範囲外から出題された試験問題のようなトラブルだったとしても、 誰も責める事は出来ない。 ツケは全て自分、時には大切な同乗者に降り掛かってくるのだ。
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